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専用工具の欠如による作業性の低下や、メーカー、現地サービス工場等の混成チームによる組立のための綿密な打合せや段取りが必要であるため、クレーンメーカー工場での搭載に比べ、格段の手間と時間を要するとの指摘もあった。なお、搭載に必要なクレーンに関しては、あるクレーンメーカーでも150トン〜250トン吊り程度のフローティング・クレーンをチャーターして行っていること、また、道内でのフローティング・クレーンでの搭載例もあることから、固定クレーンでなくともフローティング・クレーンの活用も検討すべきであろう。
次に、クレーンを設置するタレットベース面の加工であるが、かなりの精度を必要とするため、従来はクレーンメーカーで行っているようである。しかし、これに関しては道内でも加工可能な業者が存在するため、専用工作機械の輸送等を行わずとも、クリア可能な課題であるといえる。
最後の労働基準監督局の検査に関しては、本質的な問題はないが、委嘱検査に係る打合せに加え、道内においては認定を受けた最大ウエイト(吊り能力200トンまでは、吊り能力十25%、200トン超は吊り能力十50トンの重量が必要)の確保ができないことが想定され、その場合代替方策の検討のための打合せが必要となり、クレーンメーカーとしてはこれらの手間と、人員を割かれるという面で消極的にならざるをえない部分がある。
このように、クレーンメーカーとしては、人員派遣や手間といったデメリットに対し、現地搭載に係るメリットが乏しいため、現地搭載を厭い、納期集中等の特殊事情を除いて自社工場のある瀬戸内での搭載を要望しているニュアンスを感じとることができた。そのため、道内造船所としては、これら状況を十分認識した上で今後の対応策を検討する必要がある。

 

 

 

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